新卒社会人1年目の日常 (7)

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 資料作りの話は一旦置いておこう。2日目のお昼休みの話をしよう。

 相も変わらずコンビニへ行き、おにぎりと野菜ジュースを大きな手で乱暴にむしり取る。投げ捨てるようにお金を払い、薄暗い自分の席へ戻った。

 もしかしたら今日は会話に入れてくれるかもしれない、仲良くしてくれるかもしれない。そんな期待は虚しく泡のように弾け飛んだ。この会社に何かを求め期待するのは、間違いなのかもしれない。ひとり黙々とコンビニ飯をかき込んだ。

 昼食を食べ終わると居心地が悪くなった僕は、ある場所へ駆け込んだ。個室大便トイレ。その場所には実家のような安心感があった。とても居心地がよい。実家と唯一違うのは、不意にやってくる強烈なアンモニア臭くらいである。
 お昼休みが終わるまでそこでポチポチ携帯をいじった。

 さて、仕事の話に戻ろう。昨日の僕だったら、やることが無くて、昼休みに誰とも仲良くなれなかった事をいつまでもグチグチと引きずっていただろう。しかし、2日目の僕はひと味違う。任された仕事がある。最初は全くExcelが扱えず、悪銭苦戦していた書類作り。もうやりたくないとかそんな事も思っていたが、仕事(役割)があるって案外悪くない。

 喋る人がいない。友達がいない。同期がいない。今日の僕は3つのいないを考えない。
 あぁ、仕事っていいもんだ。僕は会社に友達を作りにきているんじゃない。仕事をしにきているんだ。なめた考えは捨てて一生懸命仕事に取り組もう。全力で腕まくりした。

 結果として、Excel技術が向上せず、本日中に仕上げることは出来なかった。

 終わらなかったの⁉とこちらを見る上司Aの視線を横目で感じてはいたが、一生懸命仕事に取り組んだ僕の顔は、どこか誇らしげであった。

 業務終了の歌が流れると同時に逃げるように帰宅した。

日目   完。

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新卒社会人1年目の日常 (6)

1日目  4月2日(木) 晴れ

 社会人の朝は早い。AM6:15。鳴り響くアラームの音をゆっくり止める。
 早寝したにも関わらず初日の疲れは一切とれていなかった。2日目の朝が最もつらい。これは、初日が楽しくなかった全新入社員に共通する。
 出社したくなくて吐き気がする。が、実際には吐けはしない。これも、初日が楽しくなかった全新入社員に共通する。

 身支度を済ませ、鏡に写る自分の顔は昨日よりハッキリと痩せていた。削れた頬をさすりながら玄関へ向かい2日目の扉を開いた。

 おはようございます。定時より早めに会社についた僕は、すれ違う人全員に挨拶をする。挨拶を返してくれる人やくれない人。新人だから、もう少し声を張った方がよかったかなとか、相手の目を見るべきだったかなとか余計な気を張る。
 エレベーターでは常にエレベーターガールの役割をこなすべきかなとか、間違った敬語になってないかなとか余計な気を張る。早々に気疲れした僕は、始業時間がくるまで個室大便トイレに閉じこもった。

 始業開始の歌が流れると、上司Aからさっそく仕事を依頼された。昨日、何もすることのない辛さを知った僕であったから有り難いような面倒くさいような複雑な感情であった。
 Excelを使った、部署全体の役割や仕事内容をまとめた資料作り。2ページ分。一見誰にでも出来る簡単な雑務のように感じる。いや、実際僕もそう感じていた。しかしExcelを開いたところで僕の手が止まる。ハァハァ。動悸が速まり、呼吸が乱れる。鼓動の音が大きくなる。机はガタガタ震えだし、手汗でマウスがびっしょりになった。

 Excelが使えない。使い方忘れた。

 大学ではよく使っていたから余裕だと思っていたが、よくよく考えると友達や先輩の完成品をコピーアンドペーストしていただけであった。ここだけの話、コピペの能力に関しては群を抜いて高い。
 とにかくExcelを色々触って感覚を戻さなければ。大きく深呼吸をし、再びパソコンに向かった。

続く→https://gumondana.com/everyday-lifeofworkingpeople7