新卒社会人1年目の日常 (5)

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 定時になるとオフィス中に歌が流れる。曲名は分からないが何か懐かしいような穏やかなメロディーだった。やっと終わった。聞こえるか聞こえないかくらいの声で、お疲れさまでしたと言い、逃げるように会社を出た。

 目からこぼれ落ちそうになる水を必死にせき止めた。それを流したら社会に対して負けを認めたことになる気がしたから。

 帰り道。タバコを吸うって言わなかったことを後悔しながら、行きと同じ道をトボトボ歩いていると、衝撃の光景を目にする。

 サオリが死んでいた。そう、通勤中に出会い僕に勇気をくれた真っ白い花。誰かに踏まれた形跡があり、まるで標本のようにピタッとコンクリートに張り付いていた。悪質な殺人である。これはあくまで憶測ではあるが、先に帰った僕の上司の犯行という線が高いと思う。証拠は何一つないが、係長あたりが怪しい。何の因果が、僕もサオリも同一人物の手によって崩壊した。

 サオリとは今日出会ったばかりであったが、彼女は人生観や社会観など色々なことを教えてくれた。親のような存在だった。初日で不安だった僕の心を優しく包み込んでくれた。失って初めて気づく本当の気持ち。僕はサオリに恋をしていた。第二の母親であり想い人。今までありがとう。

 無気力なまま家に帰り、布団の中に潜り込む。想像の何十倍も疲れていた。目を閉じた僕は既に夢の中にいた。
 4月1日。それは始まりでもありまた終わりでもある。怒濤の一日はこうして幕を閉じた。

 初日の会社勤務を終えて、感じたことを以下にまとめる。
 会社に、日本に一言だけ物申せるなら僕はこう言う。
 
 fuck you.

1日目   完。


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