新卒社会人1年目の日常 (10)

前回→https://gumondana.com/everyday-lifeofworkingpeople9

 可愛らしい女性は僕に近づき、僕もまた彼女に吸い寄せられるように近づいた。
 笑顔ではじめましての挨拶を交わすと、彼女は早速、甘えた声で自己紹介をしてきた。僕に好かれたいのだろう。どうやら彼女は、第一生命という保険会社では働くキャリアウーマン。保険に関するアンケートにいくつか答えた後、契約書にサインしてくれと懇願された。僕は、一瞬ためらったが、女性を悲しませる事はできない。彼女の為ならと、よくわからない契約書にサインした。彼女は、とても嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。更には、来週は別の契約書を持ってくるから、また会ってくれる?と必殺の上目遣い。この目は、完全に僕に惚れている。うん、会おっか。満更でもない顔でそう答えた。

素晴らしい出会い。これから始まる華金に向けて、幸先のよさを感じせる。

 社会人初の金曜日は小学校からのダチである、しゅんぺい(仮名)と遊ぶことが前々から決まっていた。
 遊ぶといってもこんなご時世。する事といえば、ドライブしながら喋って、お互いのストレスをぶつけ合うくらいである。だが、これが、この時間こそが僕らにとっては大切な至福の時間なのだ。しゅんぺい(仮名)も4月から新社会人になった一人で不満が溜まっていた。お互いが鬼の形相で、社会人や会社への文句を言い合う。
 喋る相手がいない事やすべった事。僕は、3日で感じた怒りを全て彼にぶつけた。
 彼もまた彼で、4歳下の女同期に虐められている事、すべった事、上司の飲みかけのジュース缶にタバコの吸い殻を入れてぶん殴られた事をため息交じりに語った。彼に溜まっていた怒りを僕も全力で受け止めた。

 辛いのは自分だけじゃない。新社会人は、皆んなもがき苦しんでいるんだ。それを知り、僕の心がフワッと軽くなるのを感じた。
 この時間があるなら、もうちょっとだけ頑張れるかもしれない。友達は偉大だと22年の人生で初めて感じた。

 しゅんぺいと別れてから、家で1缶のほろ酔いを手に取り、一人呑み。アルコールが3日分の疲れに染み渡る。
 みるみる顔が真っ赤になり、吐きはしたが、とても気持ちの良い夜。ボーッとする意識の中、華の金曜日は終わった。
 

3日目   完。

続き。→https://gumondana.com/everyday-lifeofworkingpeople11

 《 つづき。番外編→https://gumondana.com/introduce-personalityofmasaya

“新卒社会人1年目の日常 (10)” への4件の返信

  1. 更新待ってました。
    私も、社会人になってようやく華の金曜日という意味を理解しました笑
    是非これからもブログ続けてください。
    更新お待ちしてます。

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